いんこです。
10月17日(土)に行われましたモデル研究会の報告文を掲載いたします。
(第1回モデル研究会・活動報告)
文・いんこ
10月17日(土)、東大本郷キャンパス学生支援センターディスカッションルーム1にて、第1回モデル研究会を開催したしました。東大生、慶応生、上智生、法政大生、また国立リハビリテーションセンター研究員の方など、総勢6名の方が参加してくださいました。
モデル研究会とは、既存の(吃音についての)学術モデルに基づいて当事者研究をする会のことです。モデル研究会の運営は、東大誰でも当事者研究会代表のべとりんさんから使用許可をいただいたモデル研究会のレジュメを参考に、また、モデルの紹介は、九州大学病院の菊池良和先生から使用許可をいただいた『エビデンスに基づいた吃音支援入門』(2012年、菊池良和)のパワーポイント資料を参考に、行いました。べとりんさん、菊池先生、資料使用をご快諾下さり、大変ありがとうございました。
今回のモデルは、「吃音の進展段階」(『エビデンスに基づいた吃音の支援入門』p.13)でした。吃音の進展段階を第1層から第4層に分け、吃音症状、認知及び感情、本人の悩みの大きさ、周りの心配度などの項目に分けて整理したモデルです。
最初の感想では、参加者から「吃音の定義があいまいに思える」「同じ第2層でも第1層から第2層に移行した場合と、一度4層を経てから2層に戻った場合とでは違いがあるように思えるのに、そのような考察が十分ではないように思える」「吃音がある人の考え方や感情が何でも『症状』として扱われることに違和感がある」「連発・伸発・難発の分類は本当に適切なのか」「同じ時期でも環境によって大きく左右されるはずなのに考察が十分ではない」などの鋭い意見がたくさん出ました。
どれを掘り下げても面白そうな研究になりそうだったのですが、今回の研究会では、特に、吃音についての定義についての研究を行いました。短い時間ではまとめるのが大変で、研究成果めいたものはあまりはっきりとは出せませんでしたが、「『言いたいことが言えないという苦しみ』が『(第2層以降の)吃音の定義』で、第1層の吃音は、『吃音の前段階』とでもいうべき状態ではないか」という意見が面白かったです。研究会では、この考察の他にも、社会モデル的な立場からの別の吃音の定義の提案が出されたり、「吃音の苦しみ」の種類について考察を行われたりしました。
全体を通した感想では、「一人で教科書を読んでいる時は、あまり疑問に思わなかったが、こうしてみんなで話し合ってみると、意外とつっこみどころが多いことに気がついてよかった」「吃音について向き合う際、避けては通れない問題だと思うので、とても有意義だった」などの意見がありました。
初めてのモデル研究会の開催で、進行役があまり慣れておらず、中々至らない部分も多かったかと思いますが、参加者の皆さんのおかげで、とても面白い研究ができたのではないかと思います。参加してくださいました皆さま、改めて、大変ありがとうございました。